古くなった借家の修繕の必要は?

Q 築60年以上の借家があります。住むに耐えない程破損しているので取り壊したいと思っていた所、借家人が土台や柱を取換えれば、まだ住む事ができるとして、修繕を要求して借家の受け渡しを拒んでいます。このような求めに応じる必要があるのでしょうか?

A 正当事由を主張して借家の明け渡しを認めてもらえる可能性があります。

 

借家が朽廃状態なら修繕の必要はない

 一般的に借家が朽廃した場合、借家契約は終了すると解されています。「朽廃」とは、借家が時の経過により、自然に建物としての経済的効果を失う事を言います。したがって、借家がすでに朽廃状態であれば、借家契約は終了している事になるので、借家を修繕する必要はなく、ただちに借家の明け渡しを要求する事ができます。
ただし、屋根や壁が腐り、雨露をしのぐ事さえできない状態とならない限り判例上は朽廃とは認定されない為、「住むに耐えない程破損している」というだけではなかなか認定して貰えないと思われます。それではまだ、朽廃状態ではなく、大修繕すれば借家の効用延長を図る事が可能なら、必ず借家人の修繕要求に応じる必要があるのでしょうか。
この点判断は破損の著しい借家において、借家契約が自然朽廃によって終了する以前に、家主に修繕義務があるとするのは不合理だと判断しています。したがって、ご質問のケースでも、家主には借家を修繕する義務はないと解される可能性が高いと言えます。

 

明け渡しが認められなかった判例もある

 

家主は修繕の義務はないとしても、借家が自然朽廃するまで明け渡しを求める事は出来ないのでしょうか?
借家借家法28条の「正当事由」に該当していれば、朽廃が迫っている借家を取り壊す事を理由として借家の明け渡し、つまり借家の解約が認められます。ご質問のように借家が相当老朽化しているなら、正当事由が認められる可能性が高いと言えます。しかし、借家人にとって借家を明け渡す事は重大な影響を与える為、借家人の生活状態を考慮して正当事由を否定した判例もあります。このように老朽化が進行していれば必ず正当事由が認められるわけではありませんのでご注意ください。

 

 

 

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